このところ、欧州の人たちと今後のカーボンニュートラルについて議論することが多い。

もちろん議論の中心は、EVであり、水素のバリューチェーン、サプライチェーンであるが、日本に比べて、EUの本気度は想像を超える熱気を孕んだものになってきたと実感している。

EUは次々に新しいカーボンニュートラル政策を発し始めており、大手企業といえども自らがいくらカーボンニュートラルを目指している会社と標榜しても、一定の基準を一定の時間軸で達成しなければ、EUが認めないというところまで来ている。

機関投資家、銀行も、この一定基準を満たさない企業には投資はもちろん融資はできない。

こう囲い込まれてしまうと、大手企業もとにかく必死で基準クリアを目指すことになり、新エネ再エネはコスト高で非現実的と言っている日本をしり目に、欧州では太陽光エネルギー単価、水素単価はあっという間に下がり始め、石炭火力・LNG・火力はむしろ割高という結果になってきた。

このトレンドを受けて省エネ、再エネ関係の新しいベンチャーが生まれ始めており、これまでIoT、バイオ関係一辺倒であったベンチャーの世界に、ニューフェイスが続々と登場して活気を呈し始めた。

翻って日本はどうか?

EVの普及度が欧州並みの水準になるには5〜10年はかかると予想されている。また、水素導入はAll Japanの組織は立ち上がったものの、これまでの水素利権を守ろうとする人たちが、その組織に多く参加しており、既得権益を盾に、日本国内での完結にこだわり過ぎて、水素価格は欧州が目指す価格の10倍が目標になっているのが現実。

これでは水素社会は日本には当面来ないと考えざるを得ない。

欧州のカーボンニュートラルを目指す関係者を日本の一流企業と称せられる人たちに紹介しても、もっともなことは言う、理屈は言うが現実的な実行案がなく、実に地に足がついていない。

世界が基準達成できないのは、中国のせいだ、不公平だと、平然と言うカーボンニュートラルの担当者がいたりして、CO2削減の本気度が感じられない。

このままいくとあと10年たったら、日本と欧州の環境格差や新しい産業育成格差は埋めがたいものになってしまう可能性があるのが心配だ。

日ごろ少しでもサーキュラーエコノミーに貢献したいと思っている弊社にとってもこの日本の本気度のなさは大きな問題であり、いつか報われるときがくると信じて欧州基準を学び体現できる準備は整えておきたい。